ガラスのエッチング加工

ガラスのエッチング加工
化学薬品などの腐食作用を利用した表面加工、塑形(そけい)の技法を「エッチング」(Etching)または「食刻」(しょっこく)と言います。

使用する素材表面の必要部分にのみ(防錆[ぼうせい])レジスト処理を施し、腐食剤によって不要部分を溶解侵食・食刻することで目的形状のものを得ます。

銅版による版画・印刷技法として発展してきた歴史が長いため、銅や亜鉛などの金属加工に用いられることが多いですが、腐食性のあるものであれば様々な素材の塑形・表面加工に応用可能です。

ガラスへのエッチングを利用した装飾技法として「エッチンググラス」があります。

エッチングされたガラス
▲エッチングされたガラス
(バンクフィールド博物館[イギリス])

日本ではこの技法は明治時代に国費留学生の宇野澤辰美さんがステンドグラス技法と共に持ち帰った技術がその始まりです。

その後、昭和初期から大阪や東京で板ガラスへの作品が作られ、百貨店等に施工される事例が多く見られるようになりました。

1933年(昭和8年)、建築の村野藤吾設計の、そごう百貨店本店(大阪・心斎橋)の1階正面欄間・エントランスドアが有名で、平成12年に建て替えられるまで60余年、使われていました。

そごう心斎橋本店、正面欄間・エントランスドア
▲そごう心斎橋本店、正面欄間・エントランスドア

戦前では高島屋グランドフロアや丸物百貨店や大阪証券取引所ビルでも使用されました。

今日では公共建築物やホテル・住宅等あらゆる建築物を飾るようになり、ガラス装飾技法の中心となっています。

一方、1960年代頃から欧米のアーツアンドクラフト運動の影響で日本でもクラフトブームが到来し、趣味の分野でのエッチングのガラスへの応用も多く見られるようになっています。

また、自動車の盗難を防ぐためにガラスに車体の番号を埋め込む「カーシールドエッチング」(グラスウエルドジャパンの登録商標)の技術もあります。

ステンドグラス記念窓(2006年頃)
▲ステンドグラス記念窓(2006年頃)

18世紀の中華丼、ホイールカット(刻印)
▲18世紀の中華丼、ホイールカット(刻印)

ドア窓(アメリカ)
▲ドア窓(アメリカ)

エミール・ガレの酸エッチングされた花瓶
▲エミール・ガレの酸エッチングされた花瓶

メキシコのエッチングプレート
▲メキシコのエッチングプレート

ツヴィッカウ(ドイツ)の歴史的な地域病院の窓
▲ツヴィッカウ(ドイツ)の歴史的な地域病院の窓


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参考文献;
株式会社グラスウエルドジャパン
http://www.gw-ccj.com/

Wikipedia;
ガラスエッチング
https://bit.ly/2UfBRbA
Glass etching
https://bit.ly/30arObG
Bankfield Museum(バンクフィールド博物館)
https://bit.ly/2XyId84
そごう心斎橋本店
https://bit.ly/3dwDklz
村野藤吾(むらの とうご)
https://bit.ly/30nufbd
エミール・ガレ
https://bit.ly/373CHxj