治具(じぐ)の由来と表記

治具(じぐ)の由来と表記
治具(ジグ)は、加工や組み立ての際、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具です。

この日本語は同義の英単語「jig」に漢字を当てたものです。

日刊工業新聞社刊「機械用語辞典」によると次のように説明されています。

ジグ;
治具(冶具)は当て字。
工作物を固定するとともに切削工具などの制御、案内をする装置。
おもに機械加工、溶接などに用いる。これにより、いちいち罫書き(けがき)する手間がはぶけ、加工が容易になり、仕上がり寸法が統一されるので作業能率を増し、大量生産に適する。
—日刊工業新聞社刊「機械用語辞典」

これ以外に治具という言葉は色々な分野で使われています。

例えば鍍金業における薬液に漬けるための器具、熱処理業においても焼きむらを防ぐための器具、化成品を組み立てるための木型等があげられます。

一番よく使われるところは、辞典にあるように『金属を削るときに必要とされる装置』です。

また治具とよく似た意味で「取付具」という言葉もあります。

取付具(fixture);
部品加工の際、工作物を加工できるように機械に取り付ける装置。
実際的にはジグと混用することが多い。
—同辞典抜粋

治具を導入するメリットは、同一形状の製品ならば高度な熟練技術を用いずとも製品のバラツキを最小限に抑え、迅速に大量生産することを可能にする点にあります。

一方で、多品種少量生産においては多数の治具が必要になり、治具自体の生産コストによるデメリットがメリットを上回るケースもあります。

現代では金属加工以外の分野も含め、位置決めを行う器具や工具そのものに対して広く用いられるようになり、定義が拡散しつつあります。

定盤(じょうばん)の上に固定された治具類
▲定盤(じょうばん)の上に固定された治具類。
 図はパイプフレームを組む際に用いたもの。

定盤と治具を組み合わせてパイプを位置決めし、溶接などで接合する
▲定盤と治具を組み合わせてパイプを位置決めし、溶接などで接合する。

英語の「jig」が「工具の位置合せ/案内機構」だけを意味しているのに対し、「治具」は工具の位置合せに加えて工作物側の位置決めと締め付け固定するための道具/部品類も含んでいる点で両者は異なります。

「取付具」は工作物側の位置決めと締め付け固定するものであって、工具の位置合せ/案内機構を含まないので、日本語の「取付具」と英語の「jig」を足し合わせたものが「治具」といえます。


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参考文献(Wikipedia);
治具(じぐ)
https://bit.ly/3bHVv8l
jig
https://bit.ly/2ZOYmGN
定盤(じょうばん)
https://bit.ly/3uz9KEP
けがき針
https://bit.ly/2NCZgDS
鍍(めっき)
https://bit.ly/383Rwlx